日本へ留学中のインドネシア人インタビュー【鳥取大学大学院生】

日本に、留学中のインドネシア人学生に日本の大学へ留学した理由などについてインタビューをしました。前回は東京大学の大学院に在校している留学生でしたが、今回は地方の国立大学の大学院に通っている学生です。インドネシア日本留学インタビューの第16弾になります。

今回インタビューした学生は、インドネシアでも理工系大学ではランキングトップであり、インドネシア国内でも人気が高いバンドン工科大学でバイオ技術を学んだあと、鳥取大学大学院の農学専攻の修士課程として現在日本で学生生活を送る24歳の若者です。

彼が、インドネシアではバンドン工科大学に進学した理由と日本では鳥取大学に留学を決めた理由、また日本に留学してみて驚いたこと、鳥取大学を選んでよかったことなどについて語ってもらいました。

さらには日本に留学を希望するインドネシア人学生たちへのアドバイス、インドネシアからの留学生を増やすための日本の大学へのお願い、そして最後に彼の将来の夢についても聞いてみました。

インドネシアからの優秀な学生を受け入れたいと思っている学校関係者にとって、留学生獲得の大きなヒントになると思います。
(※これは、2020年7月にインタビューしたものです。)

このほか現在東京大学の在学中のインドネシア人学生のインタビューも掲載しています。
日本へ留学中のインドネシア人インタビュー13【東京大学大学院在校生】
日本へ留学中のインドネシア人インタビュー14【東京大学大学院国際保健学部】

鳥取大学大学院に留学中のインドネシア人:ガリー(Galih)さんのインタビュー

ガリーさんの基本情報

名前:ガリー チェルシー プジャサトリア(Galih Chersy Pujasatria)
卒業大学:バンドン工科大学・生物系技術学部バイオ学科(Department of Biology, Sekolah Ilmu dan Teknologi Hayati)を 2018年に卒業
在学校:鳥取大学大学院・持続性社会創生科学研究科・農学専攻(2019年10月入学)
宗教:イスラム教
出身:バンドン
年齢:24歳

【質問1】バンドン工科大学のバイオ学科になぜ入学したのですか?

私がバンドン工科大学の生物系技術学部のバイオ学科に入学したのは、「蘭(ラン)」の研究をしたかったからです。小さな頃から植物が好きでしたので、植物の研究をしたいとずっと思っていました。私はバンドンに住んでいながら、高校生になるまでバンドン工科大学に植物研究ができるバイオ学科があることを知りませんでした。大学進学を考えるようになったころに、よく調べてみると、バンドン工科大学はインドネシアの中でも「蘭(ラン)」の研究をしている学科があることがわかり、入学しようと思いました。バンドン工科大学の学士課程では、蘭の研究も含めて植物全般の研究をしてきました。

【質問2】日本の鳥取大学に留学を決めた理由を教えてください

私が日本の鳥取大学に留学を決めた理由は、日本語習得と蘭の研究を同時にできるということと奨学金をもらえたことです。

私が日本語を習得したかった理由は、小学校の頃から植物に対する興味と同じぐらい日本の文化に興味があったからです。バンドン工科大学に入る前から日本語を独学で学んで、高校の時には日本語能力試験(JLPT)のN3に合格しましたが、話し相手がいなかったので、その後はあまり上達はしませんでした。卒業を控えた高校3年生ごろから日本に留学すれば、日本語の勉強も一緒にできるのではと思っていたのですが、その当時は日本留学については難しいと思っていましたので、地元のバンドン工科大学に進学することにしました。

二つめの理由としては、日本で蘭の栽培について学びたかったからです。じつは、バンドン工科大学の3年生ぐらいまで、今学んでいる鳥取大学については全く知らなかったのですが、蘭の栽培や培養について日本で学びたいと思い立って、東京や千葉、名古屋などの大都市の有名な大学を調べましたが、興味深いテーマは見つかりませんでした。

そこで、蘭の研究に関する論文をリサーチし日本の大学の研究室をいくつか見つけ、その研究室の教授に直接メールで連絡したところ、今の鳥取大学の研究室の教授から返事をいただきました。そこで新しい研究プログラムを紹介してもらいました。その新しい研究プログラムは「菌類きのこ資源利用科学特別プログラム」と言って、菌類きのこ資源に特化している研究で、留学生と日本人学生が一緒に学ぶスタイルを採用していて、世界でもあまり例のない研究です。英語による授業が多いですが、日本語での授業もあります。これで日本語の習得と蘭などの生物学の研究を同時にできることになりました。

三つめの理由としては、奨学金がもらえたことです。バンドン工科大学と鳥取大学の間には協定関係がすでにあり、日本の文部科学省の大学推薦奨学金(MEXT U to U)を申請することができ、認可されたました。私の知る限りでは、バンドン工科大学から鳥取大学に進学した学生は私が初めてかもしれません。文部科学省の大学間奨学金をもらうために、必要書類を揃えて送ったり、インタビューも受けましたが、無事に合格できてホッとしました。

【質問3】日本に留学してから驚いたことはありますか?

日本に留学しに来てから驚いたことは大きく分けて4つほどあります。

まず一つめは、ほとんどの日本人は英語を話せないことを知ったときです。大学の授業は英語を使っていますが、日常会話は日本語です。また、日本人は外国人に対して「英語しか話せないだろう」と思い込んでいるので、日本人から私のような留学生に話しかけられることはほとんどありません。さらに、日本人は外国人とちがって物事をハッキリとは表現しないので、YesなのかNoなのかがはっきりとわからない時がよくあります。

二つめとしては、やはり日本の物価は高いことには驚きました。日本に来てからですが、物価が高いので日本で生活するためには、ある程度の余裕資金が必要だと感じました。レストランなども高いですが、スーパーマーケットでも、インドネシアと比べるとすごく高いと感じています。

三つめは、日本人はルールをしっかりと守る国民性には驚きました。とくに歩行者優先の交通ルールはしっかり守られていて、横断歩道でない場所を人が渡っていてもインドネシアのような危険はないことに本当に驚きました。また、交通ルール以外でもそうですが、ほんとに日本人はルールを守る国民なのですね。

四つめとしては、日本は自然がきれいですね。東京や大阪の繁華街は人も多く賑やかですが、私が今住んでいる鳥取県は自然が多くきれいな街です。鳥取県は日本の中で最も人口が少ない県なので、人が少ない分自然が美しいのかもしれません。特に川の水が透き通っていることには驚きました。

【質問4】鳥取大学を選んでよかったと思うことはありますか?

私が鳥取大学を選んで良かったと思うことは大きく分けて4つあります。

まず一つめは、私の研究テーマに対して全く新しいアプローチや実験方法があり、教授が本当に丁寧に指導してくれることはこの鳥取大学を選んでよかったと思う一番のことです。蘭の共生メカニズムを解明してくれたり、生態と遺伝子についても教授がしっかり教えてくれるので毎日楽しいです。

二つめとしては、ここの大学に来て日本語が上達できたことです。大学の講義では英語をメインに使いますが、専門用語のなかには日本語も多いので、生物学を日本語で勉強したかった私にとっては好都合でした。また、ゼミの仲間はあまり英語が得意ではないということもあって、研究室でも日常会話でも日本語で会話するおかげで、私は日本語がかなり上手に話せるようになったと実感しています。

三つめは、鳥取大学の国際交流課のスタッフの方はとても親切で相談しやすい点です。国際交流課の方々からたくさん鳥取県のことを紹介してもらいました。大山国際スキー場にスキーに行ったり、市民の方々と一緒に餅つき大会などのイベントにもたくさん参加させていただきました。

四つめは、ここはとても住み心地が良いことです。鳥取県は、都会のようにごちゃごちゃとしていなく、穏やかでのんびりしていて私には合っています。もちろん、大好きな植物がたくさんあることも良かったことの一つです。

【質問5】鳥取大学を卒業した後の進路は?

鳥取大学の修士課程を修了したら、博士課程に進みたいと思っています。現在学んでいる「菌類きのこ資源利用科学特別プログラム」は、修士課程と博士課程の合計5年間で学ぶことになっています。さらに、博士課程を修了したら、研究者か教授になりたいと思っています。もしも、企業で働くことになったとしても、一定期間は日本で働きたいなとも思っています。

【質問6】先輩として日本へ留学希望のインドネシア人学生へのアドバイスはありますか?

私が日本留学をしている先輩として、日本留学希望のインドネシア学生へのアドバイスは3つあります。

一つめは、インドネシアにいる間にできる限り日本語を勉強しておいてください。日本の地方都市ではなかなか英語が通じる環境にはありませんので、日本に来る前に日常会話程度は最低限マスターしておいてください。大学の授業は英語でも、日常生活での会話は日本語になります。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも日本語を使うことになります。

二つめは、大学の所在地にこだわらず、自分の学びたい研究テーマがある大学を選んでください。留学の目的は日本への観光ではなく、勉強するためなので、私のように強く学びたいという気持ちがあってしっかり調べれば、必ず自分の研究テーマに合った学科が見つかると思います。

三つめは、来日する前に日本での生活や日本人との付き合い方についてよく知っておいてください。これは、日本へ来てからのカルチャーショックを防ぐためです。インドネシア人の多くは人と話しをすることが好きですが、日本人は無口な人もいれば、話し好きの人もいます。また、外国人に対して日本人は「英語しか話せない」と思い込んでいるようなので、留学生のほうから日本人に話しかけてみることが大事です。必ず日本人は相手をしてくれると思います。やはり一番のポイントはコミュニケーションです。とくに「空気を読む」ことと「可能なかぎり日本語で話す」ことが大事です。

【質問7】日本へのインドネシア留学生を増やすために日本の大学へのお願いはありますか?

インドネシアからの留学を増やすために日本の大学に対してお願いはあまりありません。ただ一つだけ言えるとしたら、手続きに関してできるかぎり早く返事が欲しいと思っています。

鳥取大学の場合には問題はありませんでしたが、他の大学と連絡を取った時は結構返事が遅かったという印象があります。返事が遅いと、奨学金の募集の手続きも遅れてしまう可能性があるので、問い合わせなどは早目に返事をいただけたらと思います。

【質問8】あなたの将来の夢は何ですか?

私の将来の夢としては、蘭などの植物に関する知識をもっと増やして、植物学者になりたいと思っています。自分の好きな関係の研究が続けられて、その研究成果がインドネシアの発展に寄与出来たり、自然保護につながることができれば最高だと思っています。

まとめ

日本の鳥取大学大学院に留学中のガリーさんというインドネシア人学生に、日本へ留学した理由や鳥取大学を選んで良かったことなどについてインタビューをしました。

ガリーさんは、インドネシアのバンドン工科大学バイオ学科の学士課程を卒業し、いまは鳥取大学大学院の持続性社会創生科学研究科の「菌類きのこ資源利用科学特別プログラム」の修士課程で研究活動に励んでいます。

インドネシア人留学生のガリーさんが鳥取大学を選んだ理由は、植物に興味があり、とくに蘭の研究をしながら同時に日本語を勉強できること、そして、奨学金が得られたことの3つを挙げています。

インドネシアで日本の留学先を探している当初の時点では、自分の研究テーマと合致している大学がなかなか分からず、論文を検索し、直接研究室の教授にコンタクトし鳥取大学に入るという努力をしています。

たまたまバンドン工科大学と鳥取大学が協定を結んでいて、奨学金が得られたことも日本留学の後押しをしたということです。やはり、それぞれの研究分野において優秀な学生ほど奨学金のことについては、非常に関心が高く、ポテンシャルを感じます。

また、鳥取大学を選んでよかった点としては、教授の丁寧な指導、日本語が上達できたこと、国際交流課のスタッフが親身になってくれたこと、住み心地の良さなどを挙げています。

最後にガリーさんの夢は、植物に関する知識を増やして植物学者になり、インドネシアの発展や自然保護ができれば嬉しいと、元気よく話してくれました。

以上「日本へ留学中のインドネシア人インタビュー16【鳥取大学大学院生】」と題して、鳥取大学の大学院で学ぶガリーさんのインタビューでした。

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