日本へ留学中のインドネシア人インタビュー【東京大学大学院在校生】

現在日本で留学中のインドネシア人学生に、日本の大学に進学した理由などについてインタビューをしました。インドネシア学生の日本留学インタビューの第13弾です。

今回インタビューした学生は、インドネシア大学ランキングにおいて第2位のインドネシア大学でバイオ技術を学んだあと、現在東京大学の大学院にて医学系研究科の研究生として日本で学生生活を送る25歳の若者です。

彼がインドネシア大学を卒業して東京大学に入るまでの経緯や東京大学を選んだ理由、日本留学について不安だったことやインドネシア人留学生を増やすにはこういうことをしたらいいのではないかというインドネシア学生からの提案、そして最後に彼の将来の夢についても語ってもらいました。

インドネシアから優秀な学生を受け入れたいと思っている大学関係者にとって留学生獲得の大きなヒントになると思います。

→ 日本語学科や日本語プログラムがあるインドネシア大学トップ34校

※これは、2020年5月にインタビューしたものです。

東京大学大学院に留学中のインドネシア人:ディキ(Diki)さんへのインタビュー

ディキさんの基本情報

名前:ディキ プラウィスダ(Diki Prawisuda)
卒業大学:インドネシア大学・数学自然科学部バイオ学科(Department of Biology, Faculty of Mathematics and Natural Sciences) 2017年卒業
在学校:東京大学大学院 医学系研究科 内科(Department of Internal Medicine, Graduate School of Medicine)の研究生
宗教:キリスト教
出身:ジャカルタ
年齢:25歳

【質問1】インドネシア大学を卒業してから東京大学に入るまでの経緯を教えてください

私はインドネシア大学に在学中、インドネシア大学の学士課程を卒業したら、海外の大学院で勉強をしていきたいと常々思っていました。そこで、私は私の指導教授に相談したところ、日本の文部科学省の「MEXT U to U」という大学推薦奨学金制度があることを教えてくれました。その指導教授より日本の大学を紹介してもらい、この大学推薦奨学金制度を申し込みました。

しかし、しばらく選考結果を待っていましたが、残念ながらこの大学推薦奨学金制度に合格しなかったとの連絡がありました。そのとき留学予定先の日本の大学からは、「授業料を軽減するので受け入れたい」という提案をいただいたのですが、私は日本での生活費のこともあり、丁寧にお断りしました。

その後、再び私の指導教授と海外留学について相談したところ、研究生(Reserch Students)としてならば同じく文部科学省の在インドネシア日本大使館推薦の奨学金制度(MEXT G to G)があることを教えてくれました。そこで再度、指導教授のサポートをもらいながら、自分でもいろいろと調べながら、日本の大学とメールでコンタクトを取り続けました。

すると有難いことに、東京大学の教授から、私を研究生として受け入れてくれるとの返事をいただけました。そこで、新たに日本大使館推薦奨学金制度を申し込みました。

もちろん海外からの留学生として東京大学の入学試験や面接なども受けました。最終の結果を待つ間は、私の学部時代の友人でもあるバイオ研究チームからインドネシア大学のバイオ学科の博士課程の研究アシスタントのポジションを紹介してもらい、そこで奨学金の合否判定までの期間は学生の研究補助員として働きました。そして、ついに私は2019年~2021年の文部科学省の研究生奨学生に合格し、東京大学の大学院に入ることができました。

【質問2】日本の東京大学に留学を決めた理由は何ですか?

私が日本の東京大学に留学を決めた理由はいくつかあります。

1.私のインドネシア大学での指導教授が日本への留学を薦めたことはまず第一の理由です。じつは、その指導教授からは、修士課程になったら研究室でアシスタントになるよう提案を受けていたのですが、先述したように私は、海外の大学院で学ぼうと考えていましたので、インドネシア大学での研究アシスタントの件はお断りしました。

2.やはり日本へ留学するための奨学金があったことは大きな理由です。文部科学省の大使館推薦奨学金を受けれたことは非常に有難かったです。慣れない日本でアルバイトなどをせずに、本来の研究に打ちこむことができています。

3.次に大事な決め手になった理由としては、「最先端の研究ができる」ということです。私がいま研究をしている分子生物学の分野において、日本は世界の中でも最先端です。世界でも最先端の研究ができることは、やはり私のモチベーションを高めることになります。インドネシア大学の指導教授から日本の大学へのオファーを聞いた時には、思わず”Yes”と言ってしまいました。

4.インドネシア大学の先輩が数多く日本に留学していたことも理由のひとつです。日本でいろいろな分野で研究を続けているインドネシア大学の先輩がたくさんいます。このことは、日本に留学してから現れる様々な問題に対処する大きな助けになるだろうと思いました。

5.東京大学のある場所と環境も日本留学を選んだ理由のひとつです。私の日本語能力のレベルは高いものではありません。そのため日本へ留学して勉強するためには、場所や環境を慎重に選ぶ必要がありました。そういう点で、多くの外国人観光客が訪れる大都市が私にとっては適している場所だと思いました。私が大学の研究室を探したときに必須条件としたのは、大都市にある大学でした。

6.最後に、東京大学は最高ランクの大学としてインドネシアでも知られていることです。将来的に独立して研究者になったとしても、出身大学のクオリティーはグループ間での研究活動をスムーズにしますし、大きな研究成果を導き出せる要因です。研究活動をする際、やはり設備や研究材料について高いクオリティーを利用できる大学は研究者にとっての願望です。東京大学にはその点で制約がほとんどないので、選んで正解だったと思います。また、私を研究生として門戸を開いてくれた東京大学には最高の敬意を表したいと思っています。

【質問3】日本留学する前に何が一番心配でしたか?

私が日本留学で一番心配していたのは、日本とインドネシアの文化の違いです。とくに大学の授業中に、「これをやってよいものか、やってはいけないものなのか」ということを常に考えています。私が研究している分子生物学の分野では特に重要なことです。インドネシアでは、それほど気を使ってはいませんでした。

もう一つは、日本語の問題です。大学の外では日本語を使わざるを得ない場面も多いのですが、なかなか意思が伝わらないときもあり、まだまだ日々の生活に苦労しています。

【質問4】先輩として日本留学希望のインドネシア人学生へのアドバイスはありますか?

すでに日本留学をしている私から日本へ留学希望のインドネシア学生にアドバイスをするとしたら2点です。

一つめは、日本語のマスターを充分にしてください。可能であれば日本へ留学する前に、インドネシアの日本語学校に通い、日本語をしっかりとマスターすべきです。日本のいくつかの奨学金制度では、私が選択した奨学金のように日本語のスキルを必要としないものもありますが、とはいえある程度は日本語を勉強しておくべきだと身をもって感じています。

二つめは、奨学金制度をよく調べておくべきです。日本で一番良い奨学金は文部科学省の奨学金ですが、これに受かるためには、十分な研究計画を準備しておき、さらには学びたい点を明確にしておいたほうがいいと思います。また、研究計画を適切に、より具体的に準備するために大事なことは、日本の留学先の大学教授に直接尋ねてみる方法が一番の近道です。そして、留学先の研究室の進行中の研究内容を把握するためにも、最新の出版物(文献やジャーナル)を読み込んでおくことも大事なことです。

【質問5】インドネシア留学生のために日本の大学への要望はありますか?

現状でとくに大学に要望することは何もありません。何より研究設備もサービスもすごく良いと思います。強いて言えば、インドネシアからの留学生を増やすための方法のひとつとして、事前にキャンパス訪問ができて、日本の教授と話す機会があればいいかなと思います。また、インドネシアと日本という離れた場所なので、オンラインで教授と話したりすることができればとも思います。これであれば、多くの留学希望者やその家族に日本留学を理解させることができるでしょう。

【質問6】インドネシアから留学生を増やすために日本の学校は何をすればよいと思いますか?

インドネシアからの留学を増やすために、日本の学校がすることはいくつか思い当たります。まず、多くのインドネシア人が持つ本質的な問題を知ってもらうことです。奨学金の問題、両親の理解と許可、日本語の能力、海外での生活の恐怖心です。

これらの問題は学校側ですべて解決できることでないのですが、日本に留学して勉強を続けたいという強い願望を学生に持ってもらうための宣伝が必要だと思っています。本当に熱意のある学生であれば、両親や家族に留学したいという意思を伝え、海外生活への恐怖心を打ち破ることにもつながるからです。また、実際に日本に到着してから何をすべきなのかをステップを追って説明をすることで不安を少しでも解消できると思います。

近年のデジタル時代において、ネットメディアでのアプローチは可能です。インスタグラムストーリーやYoutube、tiktokなど多くの学生を引き付ける動画を使ってプロモーションしていく方法もいいかと思います。

また、東京大学には、”Go Global Center”という留学生支援サービスがあります。留学生が頻繁に遭遇する問題へのワンストップサービスです。提供されているサービスには、プライベートなことの相談、住居について、キャリア形成についての相談などがあります。私はまだ卒業時期ではないのですが、大学卒業後のキャリアについて相談できる場所があれば安心できると思います。また、このサービスによって寮から出て、自身でアパートなどの住居を見つけるときにも役立ちました。

【質問7】あなたの将来の夢は何ですか?

私は以前HIVの研究をしたことがあるのですが、現在はC型肝炎の研究もしています。いま世界はCOVID-19の脅威にさらされていますが、インドネシアだけでなく他の熱帯地域にある諸国では、エイズなどの感染症も大きな問題になっています。感染症とくにCOVID-19やエイズなどの感染症は、まさに私の研究領域です。

そして私の夢は、すべての伝染病を撲滅することです。インドネシアと日本そして世界が伝染病に脅かされないよう私の研究結果が役立てられればと願っています。ですので、研究生が終了したら修士課程、博士課程へ進学し研究活動を続けていきたいと思っています。

【島田】今後もご自身の研究にまい進してください。応援しています。ありがとうございました。

まとめ

日本の東京大学大学院に留学中のディキさんというインドネシア人学生に、日本へ留学した理由や経緯などについてインタビューをしました。

ディキさんは、インドネシア大学ランキングで第2位のインドネシア大学でバイオ技術の学士課程を卒業し、いまは東京大学大学院の医学系研究科の研究生として研究活動に励んでいます。

そのインドネシア人留学生のディキさんが東京大学を選んだ理由は、インドネシア大学の指導教授から日本留学を推薦されたことや大使館推薦の文部科学省奨学金が受けられたこと、最先端の研究ができることを挙げています。当初は大学推薦で申請、その後日本大使館推薦に切り替えての申請・・と、奨学金の取得についてはなかなか苦労されたようです。

また、インドネシア大学の先輩たちの多くが日本に留学していることや大学がある場所と環境、そして専門の研究を円滑に進めるための大学設備のクオリティー高さがあるというのも東京大学を選んだ理由だったとのことです。

そしてディキさんなりのインドネシア人の日本への留学生を増やす方法として、日本へ留学する前にオンラインでキャンパス訪問ができたり、日本の教授と話す機会があればいいのではないかとのことでした。オンラインでの事前説明があることは、学生も両親も日本留学について安心につながるのではないかとのことでした。これは彼自身の経験に基づいているものらしいです。

さらにディキさんは、留学生を受け入れている日本の学校について、日本での生活の恐怖心を克服できる強い願望を持てるような宣伝が必要だとも話しています。ネットメディアを使って学生を惹きつける動画プロモーションも一つの方法ではないかと話していました。

最後にディキさんの夢は「すべての感染症を撲滅すること」で、そのために自分の研究成果が役立てられればと日々研究にいそしんでいます。

以上、「日本へ留学中のインドネシア人インタビュー13【東京大学大学院在校生】」でした。

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