日本へ留学を希望するインドネシア人の大学卒業生に、日本への留学で重要なことなどについてインタビューをした第９弾です。今回インタビューした学生は、インドネシア大学ランキングにおいて第２位のインドネシア大学にてバイオ技術を学んだ卒業生で、日本の大学院への留学を強く希望している２３歳の若者です。
お母様がインドネシア教育文化省に勤務している教育一家で育った彼が、インドネシア大学で学位を取得しながらも、さらに日本の大学院への留学を希望している理由や日本へ留学する際に重要なこと、さらにはバイオ技術や環境保護に関する彼なりの思いなどについても語ってもらいました。
インドネシアから優秀な学生を受け入れたいと思っている大学関係者にとって留学生獲得の大きなヒントになると思います。
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※これは、2020年4月にインタビューしたものです。
日本へ留学希望のインドネシア人：アウリア(Aulia)さんへのインタビュー
アウリアさんの基本情報
名前：モハマッド・アウリア・クセルジェンドラ（Muhammad Aulia Kusherjendra)
大学・学科：インドネシア大学・サイエンス学部バイオ学科（Universitas Indonesia）
宗教：イスラム教
出身：ジャカルタ
年齢：２３歳
【質問１】なぜ日本への留学を希望しているのですか？
私が日本への留学を希望している理由として３つが挙げられます。
一つめは、日本は経済、技術、科学の分野において先進国ですし、非常に素晴らしい教育環境が整っているからです。それは初等教育から高等教育まで一貫していて、アジアの高等教育でもリーダー的な存在ですし、インドネシアに比べてはるかに進歩しているからです。
二つめは、私は日本人が身につけている文化が好きだからです。例えば、電車に乗るときでもきちんと列に並んで待っていますし、街並みは整理されていて清潔です。以前からユーチューブでこのようなことを見て知っていましたが、一昨年初めて日本に訪問して本当に驚きました。本当に日本人はみんな列に並んでいて、都会だけではなく田舎においても街並みはゴミなどがなくきれいでした。こんな日本人が持っている文化が好きなのです。
三つめは、祖国インドネシアへの貢献できるからです。私が日本の大学を卒業してインドネシアに帰国したら、すぐに日本で学んだことを生かせること、貢献できることがたくさんあるからです。また、日本とインドネシアには政治的にも経済的にも多くの協力関係があり、私の専門である環境分野においても日本で学んだことをインドネシアで応用できます。そして、お互いの国が協力して発展できるように力を発揮したいと考えています。
【質問２】日本ではどんな分野の勉強をしたいですか？
日本では環境技術について学びたいと思っています。私は、インドネシア大学においてバイオ技術を学ぶとともに、環境分野の研究もしていました。日本は環境分野においては、世界のトップを走っていると感じています。
【質問３】なぜ環境分野を勉強したいのですか？
私が環境分野を学びたい理由は、インドネシアの環境を守りたいと思っているからです。とくに環境エンジニアリングを学びたいと思っています。私はインネシア大学で環境における研究課題として、カリマンタン島地域の環境問題を取り上げました。２０１８年に発生したパイプラインからの原油流出事故における汚染された海水の浄化方法についての研究です。
さらに、カリマンタン島においては、首都移転計画によりインフラ整備の工事が予定されており、ジャングルなどの森林破壊が問題になっています。ですから、今後は環境関連の技術は必ず必要とされるからです。私は、専門家として自然環境を可能なかぎり守りながら、汚染された海水や河川の浄化技術を学び、適用していきたいと思っています。ですから、日本留学で最新の環境エンジニアリングの技術を学びたいのです。
【質問４】留学を希望する日本の大学は決まっていますか？
留学希望の大学はまだ決まっていません。希望する研究室の候補としては、京都大学や名古屋大学、東京工科大学などです。現在は日本の大学の環境分野関連の教授にメールを書くなどして連絡を取り始めています。
【質問５】留学フェアなどには参加したことはありますか？
いいえ、ありません。日本の大学情報とは、島田さんから教えてもらった「英語で履修できる大学と学科のリスト」だけです。これは、学生支援機構で公開されている大学のリストですが、今までその存在すら知りませんでした。
【質問６】奨学金を検討していますか？
はい。奨学金を検討しています。日本へ留学する資金は両親からのものもありますし、自分で経営する小さなレストランのビジネスからもありますが、日本の物価は高いので少しでも余裕が欲しいと思っています。
【質問７】ご両親からのアドバイスはありましたか？
はい。両親からは、「日本留学の経済的な支援はするが、もう大人なので、日本留学するからには自分自身の責任でやりなさい」と言われました。
私の母はインドネシア教育文化省に勤めていますが、国内の学習システムや国内の奨学金の事はよく知っていましたが、留学する日本の学校情報は、あまり詳しくありません。それぞれの地域や学校にある程度任されているようです。それに、今まで英語だけで学位が取得できる大学が日本にあることも知りませんでした。
【質問８】日本留学で重要なことは何ですか？
私が思う日本留学で重要なことは３つあります。
まず一つめは、自分の学びたい研究をしている大学であることです。現在、日本の大学教授とメールや手紙などで連絡を取っていますが、私の希望する環境エンジニアリングの部門において、最先端の技術を学ぶことができて、インドネシアにおいてもそれを応用できることが私にとって重要なことです。
二つめは、英語で学位が取得できることです。私は英語はできるのですが、日本語は話すことができないからです。英語の資格としては、TOEFL iBTテストが88ポイント、IELTSポイントは6.5です。でも、日本留学したら日本語もある程度は勉強したいと思っています。
三つめは、大学キャンパスの場所の問題です。できれば都会の大学を希望しています。今までジャカルタという都会で生活していましたので、都会の生活に慣れているからです。日本を訪問した時は、いろいろな場所を観光しましたが、やはり大学で学ぶためには、都会の方が私にはマッチしていると感じています。希望地は、東京、大阪、京都、名古屋などです。
【質問９】大学院を卒業したら日本で働きたいと思いますか？
私が大学院を卒業した後について、日本で働くかどうかはまだ決めていません。日本の企業に勤めて日本のビジネス社会について実体験として学ぶことは重要だと思います。しかし、それよりも環境問題について学ぶことが先決です。卒業間際になった時に、日本で就職するか、インドネシアに帰るのかは決めたいと思っています。
【質問１０】アウリアさんのビジョンや夢を教えてください
私のビジョンとして、まずインドネシアの環境を守る活動と水の浄化技術をインドネシア全土に広めていきたいと考えています。それは、まだまだ遠い道のりになります。インドネシア人の意識と財政的な問題が関わってきますから。でも、インドネシアの自然はインドネシア人だけでなく、世界の人々にとっても大事な財産だと思っています。その自然を守ることは私の責務だと感じています。そのためにも最新の環境保護の技術を学びたいと思っています。
具体的なプランとしては、５年以内に修士または博士号を取得し、できれば結婚したいと思います。そして、１０年後までには家族を持ち、自分の会社を経営したいと思います。
【島田】ありがとうございます。素晴らしいビジョンですね。その願いが叶うように祈っています。
まとめ
日本へ留学を希望しているインドネシア人のアウリアさんに、日本留学で重要なことなどについてインタビュー第９弾でした。
インドネシアのインドネシア大学という優秀な大学を卒業したアウリアさんは、すでにバイオ技術の学位を取得し、さらに日本の環境分野の大学院への留学を強く希望しています。日本留学で重要なことは、希望する研究、英語で学位が取得できる、大学の場所の３つを挙げています。その中でもアウリアさんが望む環境エンジニアリングと日本で学べる研究内容が一致するのか？ ということが最も重要だと考えています。
そしてアウリアさんは、インドネシアの環境保護と水の浄化技術をインドネシア全土に広めたいという素晴らしい夢を持っています。
インドネシアからの留学生を受け入れる日本の学校としては、インドネシア学生の研究内容にもとづいて、その教授を紹介したり、英語などで詳細に提示するなどして学生の希望する研究内容が一致するか確認できるようにしておくことが重要なポイントとなるかと思います。
以上、「日本へ留学希望のインドネシア人インタビュー９【インドネシア大学卒業生】」として、インドネシア大学の卒業生アウリアさんのインタビューでした。
