インドネシア教育文化省ブディ氏インタビュー【日本留学希望学生の質問】

インドネシア教育文化省の西ヌサ・トゥンガラ州教育品質保証機関ブディ(I Ketut Budiarthi)氏に、インドネシア学生の日本留学についてインタビューしました。西ヌサ・トゥンガラ州はバリ島の東側にあり、ロンボク島とスンバワ島を合わせた2万平方キロメートル(およそ四国の面積)の広大な土地に、人口501万人が住む地域です。

その西ヌサ・トゥンガラ州のブディ氏は、2019年に在日インドネシア大使館内の教育文化省部門での勤務経験があり、インドネシアの教育状況はもちろん、日本の教育状況についても理解が深く、日本留学を希望するインドネシア学生の相談役になっています。

そこで、インドネシア教育文化省のブディ氏に、日本留学を希望する学生から多い質問や日本留学の希望する学科や、さらに日本の大学に希望することなどについてインタビューしました。

インドネシアから優秀な留学生を受け入れたいと思っている学校関係者にとって、非常に有益な情報になると思います。

また、インドネシア全土の高等学校とその教職員を管理しているインドネシア政府教育文化省のサンティ教職員育成局長の日本留学支援についてのインタビュー、さらにはインドネシア教育文化省プラタマ氏の日本留学は今後増えるというインタビュー2も非常に参考になると思います。
→ インドネシア教育文化省サンティ教職員育成局長インタビュー【日本留学支援について】
→ インドネシア教育文化省プラタマ氏インタビュー2【日本留学は今後増える】

インドネシア教育文化省の教育品質保証機関ブディ氏のインタビュー

インドネシア教育文化省・ブディ氏の基本情報

名前:イ・クトゥット・ブディアルシィ(I Ketut Budiarthi)
敬称:公衆衛生学士
宗教:ヒンズー教
部署:インドネシア教育文化省 西ヌサ・トゥンガラ州教育品質保証機関
役職:実施法規調査局
出身:ロンボク島・チャクラヌガラ(Cakranegara)

【質問1】ブディさんの今の仕事内容は何ですか?

私が勤めている西ヌサ・トゥンガラ州教育品質保証機関は、インドネシア教育文化省の基礎・中等教育局に属していて、インドネシア教育文化省大臣の方針に基づき、州内の教育の品質保証を維持改善する機関になります。その中でも私の仕事は、実施法規調査局という部署で大きく分けて3つの仕事があります。

この西ヌサト・ゥンガラ州教育品質機関における全組織が適正かどうか調査、各人に割り当てられた仕事量の負荷調査、施策決定前に組織編成が適正か法規に則っているかの調査という3つの調査を行っています。そして、その調査結果をもとに各リーダーに助言を与える仕事です。

【質問2】西ヌサ・トゥンガラ州には日本留学を希望する学生数はどのくらいいますか?

日本留学を希望する学生の数は調査をしていないので、はっきりとはわかりません。しかし、西ヌサ・トゥンガラ州には、職業高校と普通高校が合わせて647校(174,798人)、大学は国立大学3校と私立大学13校がありますので、日本留学希望の学生は1000人以上はいるかと思います。

実際、私のところにも数十人の学生から、日本への留学についての質問を受けています。私は去年、在日インドネシア大使館に勤務していましたので、日本への留学や今の日本の教育状況についてよく聞かれます。日本留学希望の学生だけではなく、そのご両親や、政府機関の公務員の方からもよく問い合わせがあります。

【質問3】具体的には日本留学についての質問は何ですか?

日本留学についての多い質問は、日本留学の難しさ、生活費、奨学金の3つになります。

一つめは、日本への留学は難しいかどうかという質問です。私は「それなりに難しい」と答えています。まず成績や評価が高いことが必要ですし、インドネシアと比較してより学費や生活費もかかると言っています。日本に観光に行く訳ではないので、学業成績が良くて、ある程度の資金がないと日本留学は難しいと言わざるを得ません。

二つめは、日本での生活費がどのくらいかかるのかという質問です。学費も含めて、家賃や電気、ガス、水道や携帯電話の料金についてもよく聞かれます。生活費の合計はおよそ16~19ジュタルピア(約12.5~15万円)かかると伝えています。ただし、最近では日本へ留学できる十分な資金がある家庭も増えてきています。

三つめは、奨学金についてです。日本の文部科学省の奨学金や民間の奨学金の条件や申し込み方法、本当にもらえるかなどがあります。私からは、文部科学省の奨学金の申し込みは公式サイトから申し込みをして、いくつかの質問に答え、ジャカルタにある日本大使館でテストを受ける必要がありますと紹介しています。民間の奨学金については、ほとんどが日本に留学した後になるので、留学先の先生と相談するように伝えています。

【質問4】日本留学を希望する学生はどこから情報を得ていますか?

日本留学を希望する学生は、インターネットとユーチューブから情報を得ています。やはり、ここはジャカルタのような大都市ではないので、日本留学の情報はほとんどありません。ですので、インターネットを通じて学校のホームページなどを見ることになります。多くの学校のホームページは、日本語で書かれているので、英語またはインドネシア語の表示があるといいですね。

【質問6】今後インドネシアからの日本留学は増えると思いますか?

日本へ留学する学生はこれから年々増えると思っています。それは、日本とインドネシアの二国間の協力の度合いに関係しているかと思います。60年以上もの間、日本とインドネシアとの親密な友好関係で、インドネシアの若者は日本にすごく興味を抱いています。自動車やバイクなどの産業もありますし、アニメやファッションなどの日本文化に憧れている学生や大学生がたくさんいますので、これからもっと日本への留学は増えるでしょう。

【質問7】日本留学希望の学生はどんな学科を希望していますか?

西ヌサ・トゥンガラ州において日本への留学を希望している学生は、日本語と医学の学科を希望しています。日本語については日本語をマスターすることで、日系企業や日本で働けるチャンスが生まれるからです。現地の日系企業であっても、ホテルなどの観光施設において日本語ができることはアドバンテージになり、給料も高くなります。

医学部を希望する学生たちは、日本の最新の医療技術を学びたいと思っています。また、地域によっては医師が不足している可能性も否定できませんので、科学分野において優秀な学生は医師になりたいと考えています。

【質問8】日本の学校に希望することはありますか?

日本の学校に希望することは、ハラル食品と生活費の援助です。ここ西ヌサ・トゥンガラ州は人口の94%がイスラム教です。イスラム教の戒律の中でもハラル認証された食事をすることが大切ですので、ハラル食品の準備をお願いしたいと思っています。また、日本での生活費の援助としての奨学金も大事ですが、学生寮など住居の準備なども大事になります。日本の住居費はインドネシアと比べて本当に高いと私は感じています。さらに、先述したように日本の学校のホームページには英語やインドネシア語の表記があると、学生もご両親も理解しやすいと思います。

まとめ

インドネシア教育文化省の西ヌサ・トゥンガラ州教育品質保証機関のブディ氏にインドネシア学生の日本留学についてインタビューしました。

ブディ氏は、在日インドネシア大使館の教育部門において日本にいた経験をもとに、西ヌサ・トゥンガラ州に住む学生からの質問や彼らが希望する学科、日本の学校に希望することなどについて話してもらいました。学生からの多い質問としては、日本留学の難しさはどうなのか?生活費は高いのか? 奨学金のことの3つを挙げています。また、彼らが学びたい学科としては、日本語と医学を挙げています。インドネシアの地方に住む学生の傾向についても語ってもらいました。

インドネシアから留学生を受け入れる日本の学校としては、奨学金や学生寮などの支援とともにハラル食品の準備や、学校のホームページを英語やインドネシア語表記をするなどが、留学生獲得につながると思います。

以上、「インドネシア教育文化省ブディ氏インタビュー3【日本留学希望学生の質問】」をお伝えしました。

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